lotlotlot
それは無駄な行為だった。せっかく整えたはずの呼吸は、根こそぎ崩れた崖を見た途端、再び激しく乱れた。
「リーグ、リーグ・・・。」
四つん這いになり、崖の下を覗く。しかし、高さがありすぎて、リーグがそこにいるかどうかわからない。それでも必至に目を凝らし、リーグを探した。
「リーグ、リーグ・・・。」
エリシアは、大人がこんなに取り乱すなんて、考えもしていなかった。リーグの父に伝えれば、自分が想像もしないような方法で解決してくれると思っていた。それなのに、哀しい現実を見せつけられるだけだった。
「おじさん、他の人を呼んでくるね。」
村に向かって走るエリシアの後ろ姿が、何かを語っていた。
< 82 / 148 >

この作品をシェア

pagetop