光る花
プロローグ
僕がまだ静かな少年だった頃
その花をよく見かけていた。

公園の木陰
街の花壇
美しい人の髪飾り

すべてにその花はあって

いつも、蛍のようにほわっと優しい光で
「ここだよ」と、存在を僕に伝えた。
控えめだけど確かな意思で。

僕はそれを見る度に、
この世界を少しずつ愛する自分を感じていた。

一つの深い呼吸をして、
再度目を開けると、
ちょっとだけ、その前とは世界が違うように感じられていた。

そして
ぼくは大人になり、
その花は見えなくなっていった。








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