SSマジック
歩道に優を座らせると、カバンの中からタオルを取り出した。

タオルで優の頭を拭き、横に座った。

「おい。二人とも乗れよ」
顔をあげると、黒い車がとまっていた。
中には25歳ぐらいの男性が乗っていた。

「乗れっつってんだろ!」
苛立った声がひびいた。

優を抱えこむようして立たせ、車の後部座席に座らせた。

和人は助手席に乗り込み、車が走りだした。

「和人…?あの…」
恐る恐る声をかけた。

「あぁ、これ俺の兄貴」
不機嫌そうな和人はそれだけを言うと黙り込んだ。
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