SSマジック
基本的に歩いている、と言う和人と、仲良く並んで登校した。

歩くのが遅い愛にペースを合わせたために、遅刻ぎりぎりになっていた。

「あれ?愛、昨日と髪飾りが同じだよ?」

毎日、髪飾りだけは変えていた。
それがまず、他の女子高生たちと同じ、“普通”になれると思った。


「ちょっと寝坊しちゃって…」
和人の家にいたことは言わないでおこう。

「ピアスも一緒だし…」
「ね」

ごまかすように、それだけ言って、雑誌に目を向けた。

「これ、優似合いそう!」

今日から、また普通に戻れる…。
少し安心した。
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