SSマジック
なぜそこに座ったかも分からない。

でも、テレビを見て笑う和人を見て、少し安心した。

警戒することではなさそうだ。

「飲まねぇの?」
そう言われて、愛はジュースを一気に飲み干した。

「ううん。喉乾いてたの」

俯き加減になっていた愛の顔を和人は覗き込んだ。

びっくりした勢いで、頭を思いっきり後ろにさげた。
その反動で、ソファに頭が当たり、バウンドした。

「ゴツン」
二人のおでこがごっつんこした。

痛いのと、自分がパニックを起こしていたことに、笑いがとまらなかった。

和人はそんな愛を見て笑った。
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