猫とうさぎとアリスと女王
 僕の心とは裏腹に空は真っ青で、凄く眩しく思えた。

学校に行っても授業は上の空。
この気持ちをどうしてしまおうか、言うべきか、否か。
そんなことばかりを考えてはため息が出た。

そうすると自然に授業にも出ず、図書室で時間を潰す日が多くなる。

そこで彼に出会った。


「うおっ!椎名じゃん。」


図書室で偶然顔を合わせてしまったのは、同じクラスの奏芽君だった。

短髪でいくつもピアスをつけているから、顔と名前はすぐに一致した。
けれど彼は授業に出ているところをあまり見ない。
おそらくどこかでサボタージュしているのだと思ったけど、本当にそうらしい。


「お前がサボりなんて珍しいな。」


奏芽君はニタニタ笑いながら僕を見た。

残念ながら今は話をしたい気分じゃない。


「まあね。奏芽君はいつもここに来るの?」


気だるそうに僕が質問すれば、彼は頭をポリポリとかいて言った。


「・・・厳密に言えば違うかな?こっち来いよ。いい場所教えてやるからさ。」


すると彼は図書室の奥へと僕を案内する。
そしてあるドアの前で立ち止まり、鍵を出した。


「ここ、入っていいの?」


ガチャリと音を立て、扉が開いた。


「さあな。見つかって説教くらいたいなら入らなくてもいいぜ。」


そこは小さなベランダ。
風が心地よくて、僕の心の靄も晴れていくようだった。

奏芽君は床に座り煙草に火をつけた。


それを見て、タケを思い出した。

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