猫とうさぎとアリスと女王
私はその頃、裏新宿で小さな反逆グループを統率していました。
私の周りに集まった極少数の人間と悪さをして遊んだりしていたのです。
その頃はただ“遊び”と称し、ここでは言えない様なことをたくさんしていました。
そんな時、私はトラに出会ったのです。
ゴミの溜まり場のような所に、トラはいました。
トラはゴミを漁り、まるでホームレスさながらの身なりでそこにいました。
私たちはふざけてトラを罵りました。
汚いだとか、そういう低脳な罵声を浴びせていたのです。
すると私の友人の一人がトラを蹴飛ばしました。
「目障りなんだよ!失せろ!」
それを見て笑う友人たち。
けれど私はそれを見て笑うことができませんでした。
馬鹿にすることもできませんでした。
その時のトラの目が、今まで見たことも無いような目をしていたからです。
鋭く、強い、何にも屈しないような力強い瞳。
私の周りにはこんな瞳をした人間はいませんでした。
私はトラに近寄り、見下ろしました。
「名前は?」
トラは黙ったままでした。
痺れを切らし、私がもう一度尋ねます。
「名前は?」
「・・・虎次郎。」
「名字は?」
「無えよ。」
トラは私を睨みます。
「俺、親いねえから。
おととい施設から逃げてきた。」
私は妙に目の前に居る男の子に惹かれました。
ただ、なんとなく。
直感的に何かを感じたのです。
「来な、トラ。」
トラは尚も私を睨んでいました。
「あたしの仲間にしてやるよ。」
私がそう言っても、トラは私を睨んでいました。
これがトラとの出会いでした。
私の周りに集まった極少数の人間と悪さをして遊んだりしていたのです。
その頃はただ“遊び”と称し、ここでは言えない様なことをたくさんしていました。
そんな時、私はトラに出会ったのです。
ゴミの溜まり場のような所に、トラはいました。
トラはゴミを漁り、まるでホームレスさながらの身なりでそこにいました。
私たちはふざけてトラを罵りました。
汚いだとか、そういう低脳な罵声を浴びせていたのです。
すると私の友人の一人がトラを蹴飛ばしました。
「目障りなんだよ!失せろ!」
それを見て笑う友人たち。
けれど私はそれを見て笑うことができませんでした。
馬鹿にすることもできませんでした。
その時のトラの目が、今まで見たことも無いような目をしていたからです。
鋭く、強い、何にも屈しないような力強い瞳。
私の周りにはこんな瞳をした人間はいませんでした。
私はトラに近寄り、見下ろしました。
「名前は?」
トラは黙ったままでした。
痺れを切らし、私がもう一度尋ねます。
「名前は?」
「・・・虎次郎。」
「名字は?」
「無えよ。」
トラは私を睨みます。
「俺、親いねえから。
おととい施設から逃げてきた。」
私は妙に目の前に居る男の子に惹かれました。
ただ、なんとなく。
直感的に何かを感じたのです。
「来な、トラ。」
トラは尚も私を睨んでいました。
「あたしの仲間にしてやるよ。」
私がそう言っても、トラは私を睨んでいました。
これがトラとの出会いでした。