猫とうさぎとアリスと女王
 一度、私の家に泊めてあげてからというもの、トラは私の周りを付きまとうようになりました。

私は一回きりの親切としてトラに満足できるような生活をさせてあげたのです。
その結果がこれ。

何があっても私の傍を離れませんし、付いてこないで欲しいと言えば
「俺は姐さんに恩返しをする義務がある」だとかなんとか。



無理矢理振り切ろうとすれば、家の前でずっと待っている始末。

それはまるでいかれ帽子屋のモデルになった、テオフィルス・カーターのようでした。


それで私は仕方なく折れ、トラを傍に置くことに決めたのでした。




そしてトラのような人間を放っておけなくなり、私は友人たちと“ヴァインズ”という名の反逆グループを結成。
活動は主に裏新宿の統治。

統治と言えどそれは荒々しいものでしたけれどね。


私の元にはたくさんの身寄りの無い子どもや、社会から追放された若者が集まってきました。

そのような人間は食べ物も住む所もありません。
なので私たちは他のブロックのギャング達をカモにしたのです。



そんなことを繰り返しているとヴァインズの規模は大きくなり、縄張りもメンバーもかなりのものになりました。

勿論、私の名前も裏では有名になったのです。
裏新宿反逆グループ、ヴァインズのマコト。
それが私の肩書きでした。


トラは私の側近になり、常に身の安全を考え共に行動しました。




しかし、私はヴァインズのリーダーを辞退することになります。

辞める気はありませんでしたが、続ける気も無かったというのが正直なところです。
どうしようか悩んでいる時、あることをきっかけに私はリーダー辞退を決意しました。





それはお父様の大きな決断でした。
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