こころの展覧会
メモを取り終わった藍は、空を見上げている椿姫を見て言った。

「椿姫さん、聞いてみたいことがあるんです」

「なんだ」

「僕は今も紫陽花に似ていますか」

「…そうだな……やはりお前は紫陽花だな」

「それは変わっていないということですか?」

「そうじゃないさ。紫陽花は辛抱強い花だ。色を変えてく姿は、美しくなるための試行錯誤のようじゃないか」

椿姫は閉じた扇を口許にあて、目を細めた。眼差しを藍へと流す。

「どういうことですか?」

「お前は変わったってことだ。強くなった」

「そうですか……でも、そうなれたのは、椿姫さんのおかげですよ。絵が描けるようになったのも。あの時の絵は、僕のお守りになりました」
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