満たされしモノ
僕と閂は揃って考え込んでいた。


先に沈黙を破ったのは彼女の方で、立ち上がると同時に明るい声を出した。


「まあ、今はあれこれ考えても仕方がないことだ。時間もないし、そろそろ戻った方が良いぞ」


時計を見ると、時間は確かに予鈴間近に迫っている。


「うん、そうだね。じゃあ僕はそろそろ行くよ。


いろいろご馳走になっちゃって……、ありがとう。本当に美味しかったよ」


心からの感謝を述べ、席を立つ。


そして、部屋から出ようとした時、


「ああ、刀矢。聞いておきたいことと言っておきたいことがある」


閂は僕を引き止めた。


退出の瞬間に呼び止めるのは、なんだかドラマの刑事ようだ。


数瞬迷ったが、握っていた取っ手を離し振り返る。


「明日もパンタゴンに赴くのか?」


予想通りの質問だった。


僕はためらうことなく頷く。力強く、閂から目を逸らさずに。


僕の本気が伝わったのか、彼女からそれ以上の追及はない。


「言いたいことっていうのは?」


僕が促すと、彼女は妖艶さを全面に出した笑みを作る。


「また来なさい。もちろん一人でね」


……どうやら、こちらがメインだったようだ。


 
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