ヘタレ船長と二人の女海賊
翌朝。

雨上がりの甲板に船員が気絶していた時は、流石に誰もが驚いた。

船員の肩口には痛々しい青痣。

ちょうど片刃の剣で峰打ちされたような痕が残っていた。

誰もが船員に、誰にやられたのか問いただすが、当の船員は脅え切っており、絶対に犯人の名前を口にしようとはしなかった。

…こんな状態じゃ、青年との決闘なんてとてもできねぇ。

当然の如く、決闘の件は有耶無耶になってしまう。

「ま、仕方ないわね。あの船員もツイてなかったって事で」

白々しくメアリが言う。

そんなメアリに。

「おい」

俺は声をかける。

「俺が昨日、海賊の掟について話したの、覚えてるか?」

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