白黒先生-二重人格彼氏-
そして先生は眼鏡を丁寧に拭くと、慣れた手つきでまた掛けなおした。
そのあと、あたしの方を向く。
「何見てるんですか、倉橋さん。見惚れてるんですか?」
声をワントーン高くして、優しい笑顔で言う先生。
わ…不覚にも格好いい…と思った。
「…ずっとそうしてるといいのに」
あたしはまだしゃがみこんだまま、ボソリと呟く。
「え、何? お前、優しい方が好み?」
驚いたような、やっぱりというような微妙な感じで聞いてきた。
う…やっぱりさっきの聞こえてた。