Last Wing
そのあとのリハビリは始終上の空。
あの笑顔が頭から離れない。
《祐樹?》
「……っえ?」
《どうしたの、さっきからぼうっとしてる》
訝しげに俺を覗き込んで、首をかしげる。
「や!ちょっと……疲れて。」
《そっか。あともう少しだよ。頑張ってね》
そう言えば、俺、美音の過去のことなんか何一つ知らない。
どうして声を失ってしまったのかも、知らない。
「美音」
そう呼び掛けると振り向くその姿に愛しさは溢れ出す。
俺の心は美音でいっぱいだけど。
もしかしたら美音の心は、俺じゃない他の誰かでいっぱいかもしれない。
どんなに想っても入る隙間が無いほどに