図書室のラブレター



だからすぐに鞄を持って
図書室を飛び出した。



まだ近くに
いてくれているはずだから。




「仲原さん、
今日はもう帰り?」




先生が声を掛けるけど
今は一刻の猶予も無い。


だから振り返らずに
大きな声で返事を返した。




「…?
仲原さんよね?」




とにかく急いで探した。


もちろん花井君に関わってると
知られたら危ないから
名前は出さないまま。



街中に出ても
すぐに教えてくれた。



“金髪で赤いピアス”


“顔つきが悪い男子高校生”



それを言うだけで
誰もがすぐに教えてくれた。



中には怖がって何も言わずに
逃げる人もいたけど。




がむしゃらに町中を探し回る。



文科系の私にとって走る事は
久々ですぐに息があがった。


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