*―い じ め―*


里沙は乱暴にドアを開け、
寒がる愛菜達を睨みつける。


「フンッ…いい様……
汚いのも流れていいんじゃないの!?
シャワーにでもなってさ。」


そう言って里沙は大声で笑った。


「おかしいよ……
こんなの里沙じゃない……ッッ」


「あ?なんか言った?」


里沙はおもいっきり力を込め、ホースを愛菜にぶつけた。


バンッ


「痛ッッ……」


愛菜の足を直撃し、かすれて血が流れた。


「あ…愛菜…!!
血が出てるじゃん…大丈夫!?」


藍は痛々しい傷口から流れる生々しい血をハンカチで拭った。


ハンカチを乱暴にポケットに入れ、里沙を睨む。


「なんでこんなことするのッ!?
昔の里沙はこんな事しない!!!!
なんで!!??ねぇ!!」


ゴメンね。


里沙。


この時から私達は、


ひどく貴方を苦しめてたね。


一番辛いのは…


里沙だったのに。


「…さっきから里沙里沙って……
喚いてんじゃねぇよ……」


くぐもり、低い声で話し出す。


「昔の里沙?
それがどうしたんだよ。」


「今のあたしと前の里沙は違うって言うのかよ!!!
今のあたしは友達じゃないって言うの!!??」


そう言うと里沙はトイレの出口まで走って止まった。


「あたしはもう友達じゃない……
なら………」


掠れた声だが、


そう……


確かに聞こえた。


「あたしなんか、
死んで消えちゃえばいいんだ………」


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