聖花学園～花よ咲き誇れ～

　そんなわたしの願いは叶えられることはなく……。


　一年の教室がある廊下までの道のりの途中、突然先を歩く流依が足を止めた。

　反射的にわたしも足を止めると、いきなり流依が振り返ってわたしを抱きしめた。

「んなっ！？」

　首の後ろを掴まれて、離れようにも力が入らない。


　HRの時間が近くて、他の生徒がいないのがせめてもの救いだった。

　こんな所を見られたらどんな噂を立てられるか……。



　何にせよ、こんなことをして流依が何を考えているのか分からない。
　頭の中には？の記号ばかりが浮かぶ。


　はぁ……と、耳元にため息の音が聞こえた。
　そして囁くように言われる。

「お前は俺のものだって言っただろう？　他の男近づけてんじゃねーよ」


　は？