イジワルだけど
1.嫌い
放課後誰も居ないはずの夢空高等学校一年二組の教室に二つの影があった。

「あんたなんか嫌いなんだからね!」

石田彩未(イシダ アミ)は目の前にいる白木章(シラキ アキラ)に思いっきり嫌いだと言ってやった。

嫌い! 嫌い! だーい嫌い! こんな嫌な奴いなくなればいいのに!! 生徒会なんかに入るんじゃなかった。そしたら、白木ともあまり顔を合わさずにすむのに。

現在、彩未と章は同年代の生徒会長・伊庭俊明(イバ トシアキ)に頼まれて学校新聞を作っている最中だ。ちなみに彩未の役職は一年生ながら生徒会副会長で、章も一年生ながら生徒会の立派な書記だ。二人共、年に一度行われる生徒会立候補選挙に当選。その後、役職を決める時に二年生が「一年に生徒会の重大な役職を任せると面白いかな」と変な提案をした所為、彩未と章の生徒会でのポジションは生徒会副会長と書記になったのだ。

ハア――と彩未は嫌な気持ちを込めて思いっきりため息をする。

「嫌い? 嘘つくなよ。本当は好きなくせに。な、好きなんだろ。俺の事」

彩未は章の言葉を聞いた途端、健康的に白いほっぺたを真っ赤にさせて眉を眉間に寄せる。

「好きなわけあるかー! あんたみたいなね。馬鹿で変人眼鏡なんか嫌いなんだからね!」

「ふうん。本当は好きなくせに。まあ、俺は君みたいなツンデレ星人なんか嫌だし、胸が小さいからのは眼中には無いから残念だけど、好きじゃないね」

「私だって嫌いよ!」

彩未は章に向けてべーっと舌を出した。

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