無色の日の残像
 雨雲が去った青空の下で、再びつくつく法師が鳴き出した。

「本当に泊まってかないの?」
 喫茶店の入り口に立ってそう言う雨鳥に、無色は、雨宿りに寄っただけですから、と首肯した。

 傾いた陽射しが、無数の金の光の欠片を海に撒いている。

「今度はちゃんと、行きつけのホテルを予約してありますし」

「あーらら、残念。別に告白されたからって、変なコトしないのに」

 ニヤニヤ笑って言う雨鳥に、無色は呆れたように眉の付け根を寄せて言った。

「馬鹿じゃないですか?」

「あーらら」と、雨鳥は笑いながら繰り返して、それからピースピースと書かれた店の看板を眺めた。

「この店も閉めなくちゃなあ」

 そう言って、雨鳥は目を細めた。
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