無色の日の残像
「超高層都市──通称【都】。試験都市だよ。学校や病院を始め一つの町を丸ごと高層建築物の中に納めて、人口を集中させることでエネルギーの効率化を図ろうっていう」

 凄い。
 本当にあるんだ。

 空気と羽海は胸が高鳴るのを感じた。

 本当に、『こっち側』は、夢のような世界なんだ──。

「でも【都】はまだ、実験的に一つ作られてるだけだよ。他はみんな、ここと同じような普通の町なんだけど」

 嬉しそうな表情を浮かべた二人を見て、無色は困ったようにそう言った。

「ところで、俺たちどこに向かってるんだ?」

 商店街のような場所を歩きながら、空気は無色に尋ねた。
 平日の午後だからか、もともと島の人口自体が少なくていつもこうなのか、買い物客の姿もまばらで閑散としている。

「病院」と、無色が答える。

「病院? どうしてだ?」
「見舞いに行くんだ。もともとそのための休暇だったんだから」
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