無色の日の残像
 どうということもない商店や家の並ぶ町を歩きながら、空気は少し落胆した様子で息を吐いた。

「東も西とあんま変わんねえなあ」

 太陽はやや西に傾いて、時刻は午後四時というところである。

「うん。確かに普通の建物だよね」
 空気の横を歩きながら、羽海も頷いた。

「どんな建物を想像してたの?」と、無色が怪訝そうに尋ねた。

「いや、東ではみんな、すっごい高い建物の中に住んでるって聞いてたからさ」

「ああ、【都】のことか」

 一人納得する無色を見て、二人は目を輝かせた。
「なになに?」
「ミヤコって、何のことだ?」
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