無色の日の残像
「蒼嶋空気くんに、羽海ちゃんね」

 無色から彼らについての説明──というよりはどうして見舞いが遅くなったかの説明を聞かされて、少女は空気と羽海にニッコリと微笑んだ。

「わたしは佐倉井トウメイ、よろしくね」

「トウメイ?」

「無色透明の透明って書くの」

 佐倉井透明。
 新見無色とは苗字が違う。

 けれど。

「双子?」

 羽海の呟きが風に溶けた。

 車椅子から二人を見上げる白髪の少女の顔は、その横にいる無色と──瓜二つ、ではないが──とてもよく似ていた。
 よく見れば細部は異なっているが、全体から受ける印象があまりにそっくりだったのだ。

 二卵性の双子、という感じだ。

「違うよ、僕たちは──」
「わたしと無色はね」

 無色を遮って、車椅子の少女が言った。

「クローンなの」
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