無色の日の残像
「ヒトだけが、戦争を戦争と認識できる。殺し合いを認識できるんだよ」
「認識・・・・・・」
キミは自分が何をしているのかわかっているのかな?
無色の耳の奧で、また声が繰り返す。
「人間だけが死を知っているから。人間だけが生を知っているから。けれどね、戦争をする人間は、戦争が認識できない」
花火の灯りにつられて寄ってきた羽虫が、ビールの缶にとまった。
「殺し合いは、認識を麻痺させる。獣や虫けらと同じだね。自分が何をしているのか、わからずに──ただキミの、キミの仲間の、生存率を上げて、競争に勝ち残るためだけの──獣だろう? こんなのは。そんな獣に戻ってしまうんだね」
「雨鳥さん、あなたは・・・・・・」
「キミが獣や虫けらでないというのなら」
雨鳥は缶を持ち上げた。
とまっていた羽虫が飛び立った。
「群のために動くだけの蟻ではないと言うのなら、何をしているのか認識しろ。命令じゃない、誰かのためでもない、キミは自分の意志で人を殺しているんだ。『それがどういうことなのか』認識できないのなら──人間に価値なんかないよ」
無色は。
透明を見た。
それから空気と、羽海を見た。
透明が、人だけが抱く美しい疑問の欠片を持ち上げて、透きとおった輝きをそっと星空にかざした。
「認識・・・・・・」
キミは自分が何をしているのかわかっているのかな?
無色の耳の奧で、また声が繰り返す。
「人間だけが死を知っているから。人間だけが生を知っているから。けれどね、戦争をする人間は、戦争が認識できない」
花火の灯りにつられて寄ってきた羽虫が、ビールの缶にとまった。
「殺し合いは、認識を麻痺させる。獣や虫けらと同じだね。自分が何をしているのか、わからずに──ただキミの、キミの仲間の、生存率を上げて、競争に勝ち残るためだけの──獣だろう? こんなのは。そんな獣に戻ってしまうんだね」
「雨鳥さん、あなたは・・・・・・」
「キミが獣や虫けらでないというのなら」
雨鳥は缶を持ち上げた。
とまっていた羽虫が飛び立った。
「群のために動くだけの蟻ではないと言うのなら、何をしているのか認識しろ。命令じゃない、誰かのためでもない、キミは自分の意志で人を殺しているんだ。『それがどういうことなのか』認識できないのなら──人間に価値なんかないよ」
無色は。
透明を見た。
それから空気と、羽海を見た。
透明が、人だけが抱く美しい疑問の欠片を持ち上げて、透きとおった輝きをそっと星空にかざした。