桃びる

彼は、力を受け止めきれずに
よろめいて、倒れこんだ。


春は、投げ切ったフォームの
ままで、ずっと俯いていた。


唇を、血が出るくらい、噛んだ。


彼は、呆然としたまま、
ミットを見つめていた。


空気が、壊れた音が、した。


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