star dust
リビングに入ると聞こえるのは静が料理をしてる音だけ



「…みんなは?」


「拓海は拓真さんのとこ,実がコンビニで,千香はまだ寝てる」


実のコンビニって多分千香のおつかいだろうな


静の後ろに立ち,何を作っているのかと覗くと,『邪魔』とフライ返しで叩かれた



「その飯俺の?」


「そうよ
 今日の当番は私だから」


匂いを嗅ぎながら,俺は静の後ろ姿を久しぶりに見つめる


ここ数ヶ月,俺はまともにこのマンションにいなかった


寝て,起きて,学校行って,初音のとこ行って,遅くに帰ってきて寝る


必然的にみんなといる時間は減ったけど,こいつらは変わらない


今だって静はみんなの朝食とは違うものを用意してくれている


誕生日だから特別にと,俺の好きなものを作ってくれてるんだ


そういうとこが好き


……あぁ


離れていても結局変わらないんだな


少しでも忘れたかったんだけど


この好きという静への感情を


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