【 LOVERS 】
12月の中旬、
無理して仕事にでたけど
熱が一気に上がり、
1時間もしないうちに
早退することになった。

『寒っ』
ダウンのフードをかぶり
両手で押さえる。

僕は普段から薄着で
冬でもそれは変わらない。
ダウンか厚手のコートの
下はロンTか薄手のセーター。

洋服がもたつくのが嫌だからの
理由だけど、さすがに今日は
もう1枚着るべきだった。

駅から歩いて帰ったことを
早速後悔していると、

100m先に繭に似た後姿が・・・

紺色のコート。

その人が道を曲がった時に
横顔がチラッと見えた。

あっ!繭だ


今日は夕方から仕事だと
言っていた。

待ち合わせの場所に
行ってるのかな?

フラつく足も無視して
繭を追っかけた。


あれ・・・?

でも、ここってホテル街。

この先に何かあったかな?


もしかしてうちに?
なんて(笑)

繭をすぐに見つけた。

ん?

隣に男の人・・・仕事関係者?

繭はその人に向かって
文句を言ってるように見えた。

「寒い?」
「歩かせるな?」
的なことを言ってるようで、

僕は笑ってしまった。

繭寒いの苦手だからな(笑)

きっとコートのポケットには
カイロが入ってる(笑)

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