シンシア ( l )
魂一つと美を一つを交換、そう悪魔と血判契約をしていたのだった。
右腕を伸ばし、カットバンを付けた人差し指でゆりに向かって COME ON と早苗がしぐさをした。

ゆりの顔、服、スカート、腕、手、足に細かい線が入り、ジグソーパズルみたいにワンピースずつ蝶ねように離れ、ヒラヒラと飛んで行った。

早苗も同じに成っていた。
四方八方に飛び交い部屋内は、春爛漫といった感じに成っていた。
新種のフランケンシュタイン風にも見えていた。
周りの美しさに呆気に取られる二人。

やがて早苗は、完成した。
目を見開くゆり、何故ならば目の前には、見慣れた自分の顔があったからだった。
ふと思い、ゆりも顔を下げ、自分の両手を見た。

(これは、悪夢よね。 悪い夢を見ているのよね!?)
あまりの突然の事で訳が判らなく成っていた。
腐った肉片が凹凸の蝶のように呼吸していた。
指を指して笑う早苗。
「キャーァァァー」
前屈みに成って驚愕する。
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