お兄ちゃんの気持ち
7つも年下のカナコを、全身で愛してくれているコウスケを見て、兄として複雑な部分はあるけれど嬉しかった。


「コウヘイ、カナコちゃんを紹介して欲しい」


コウスケの転勤が決まった日。

事例を見て嬉しかったのは俺だけじゃなかった。

手続きも兼ねて出張で来たコウスケと、二人で居酒屋へ行くと、お酒をオーダーするより先にそういわれた。

紹介?

コウスケに、カナコを?

実は、考えたことがないわけでもなくて。

社内で唯一、カナコの写真を見せたことのあるコウスケ。

彼の話を聞きながら、喉を通らないビールをちびちびと飲んだ。

「コウヘイのカナコちゃんへの思いに、感染したのかもなあ」
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