Strawberry on the shortcakes



修ちゃんは目を伏せて


「キッズは」


「え?」


「キッズはオレの何?」


「…………」


変な質問だった


普通
『オレはキッズの何?』
って訊かない?



でも それ以前に


「私は修ちゃんの従姉妹だよ」



そう答えると


修ちゃんの頬が痙攣(ケイレン)したようにピクッて動いて



――――PiPiPiPiPi……


キッチンタイマーがアルデンテを知らせる



無表情のまま修ちゃんが茹で上がったパスタをザルにあけて


鍋から流れ落ちる熱湯に
シンクがボコンッて音をたてた



空になった鍋をレンジに置いて


「昔は」


遠く遠くを見るような目をして修ちゃんは言った



「昔は、キッズが『修ちゃん、修ちゃん』ってうるさくオレの後を追いかけて来たのに


いつからだろう

オレがキッズの後を
追いかけてる」



「………修ちゃん?」


うつむいて修ちゃんは固く目を閉じたあと


大きく息を吸ってから
上を向いて


「さ、食べよっか」って
急に明るい声を出し


トングで皿にパスタを盛った



私も うなずいて


修ちゃんが盛ったパスタにミートソースをかけた



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