右耳が あつい。

熱くてあつくて、しょうがない。


彼女は次の日、都会に行った。

彼女とは生まれたときから一緒だったが、高校は違う学校だった。彼女は高校入学のときには夢を見据えていたから。

俺は小さい頃からの夢を、自分で自分に言い訳をしてあきらめた。
夢を見る自分に嘘をついた。

彼女は夢を追うのではなく、夢に向かって確実に距離を狭めていた。
まっすぐ夢に進む彼女がまぶしくて、近くにいてはいけない気がした。

だから、遠ざけた。好きなのに。


昨日あけた右耳のピアスホールはふさぐことにした。
どうしてなのかは今でもわからない。

もしかして自分は、その傷に、何らかの意味を持たせたくなかったのかもしれない。
別れの、あるいは成長の。

ふさごうとした穴は治りが悪く、冬が終わる頃にやっとふさがった。
< 2 / 4 >

この作品をシェア

pagetop