穴
右耳が あつい。
熱くてあつくて、しょうがない。
彼女は次の日、都会に行った。
彼女とは生まれたときから一緒だったが、高校は違う学校だった。彼女は高校入学のときには夢を見据えていたから。
俺は小さい頃からの夢を、自分で自分に言い訳をしてあきらめた。
夢を見る自分に嘘をついた。
彼女は夢を追うのではなく、夢に向かって確実に距離を狭めていた。
まっすぐ夢に進む彼女がまぶしくて、近くにいてはいけない気がした。
だから、遠ざけた。好きなのに。
昨日あけた右耳のピアスホールはふさぐことにした。
どうしてなのかは今でもわからない。
もしかして自分は、その傷に、何らかの意味を持たせたくなかったのかもしれない。
別れの、あるいは成長の。
ふさごうとした穴は治りが悪く、冬が終わる頃にやっとふさがった。
熱くてあつくて、しょうがない。
彼女は次の日、都会に行った。
彼女とは生まれたときから一緒だったが、高校は違う学校だった。彼女は高校入学のときには夢を見据えていたから。
俺は小さい頃からの夢を、自分で自分に言い訳をしてあきらめた。
夢を見る自分に嘘をついた。
彼女は夢を追うのではなく、夢に向かって確実に距離を狭めていた。
まっすぐ夢に進む彼女がまぶしくて、近くにいてはいけない気がした。
だから、遠ざけた。好きなのに。
昨日あけた右耳のピアスホールはふさぐことにした。
どうしてなのかは今でもわからない。
もしかして自分は、その傷に、何らかの意味を持たせたくなかったのかもしれない。
別れの、あるいは成長の。
ふさごうとした穴は治りが悪く、冬が終わる頃にやっとふさがった。