彼は血が嫌いだ。

自分自身の血でも怖いと言う。

エログロナンセンスな世界が好きな俺は、なんだかそれが気にくわなくて、意気地なし、とバカにした。
そうしたら、彼は次の日、献血カーの中に入っていった。
生気をぬかれたような、しかし、どこかやり遂げたような顔の彼に、今日ピアスあけるんだ、と言った。

彼が献血している間に買ったピアッサーを見せると、彼は露骨に嫌そうな顔をした。
ピアスをあけるときに、血が出ると思っているのだ。血は出ないよ、とは言わなかった。

その顔をもっと、嫌がる顔がもっと見たくなったから。
・・・なんて言ったら、ずっと一緒にいたいと言ってくれる、目の前の優しい彼は、俺から離れていくのだろうか。

いや、離れないと思う。彼はマゾっ気があるから。

俺は、サディストで、痛いのと、女の子と、男の子が好きな男の子です。ついでに横断歩道は白い線だけ歩きます。


自分が一番わからないなんてことはない。自覚はしている。

性別はどうあれ、普通の恋愛をしてるし、痛みを欲するあまり自傷に励んでいるわけでもない。


でも、道に落ちていた小石を、家まで蹴り続けられたら私は不老不死になれる、と念じながら帰ったりします。
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