一生かくれんぼ





10年ぶりの故郷だ。


春川隆行が今住んでいるT町よりも自然がいっぱいで、とても空気がおいしい。


春川隆行は駅から歩いて30分の実家に向かった。


実家に向かう途中、誰1人すれ違わない。


T町に居た時の危機感が一気に消えていく。


そして実家に到着した。


ボロボロだか愛着のある平屋。


春川隆行はガラガラと玄関を開けデカイ声で母ちゃんを呼んだ。


「母ちゃん!隆行だよ!帰って来たよ!」


「…」


返事はない…


春川隆行は家に入り、母ちゃんの寝室に向かった。


寝室と言っても、汚い和室に汚い布団を置いているだけだ。


寝室には年老いた母ちゃんが、眠っていた。


そして母ちゃんはオレに気付いたのか目を開きオレを見て口を開いた。


「隆行かい…?」


小さく弱い声だった。


「そうだよ!隆行だよ!帰って来たよ!」


「隆行…おかえり…」


母ちゃんは笑顔でそう言った。


「母ちゃん、オレ指名手配されたんだ。」


春川隆行は全ての事を話した。

母ちゃんは春川隆行の話しを全て聞いたあと、しゃべり始めた。





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