学園(吟)
家の前には、親子が二人で対峙している。

「渚さん、止めなくていいのか?」

俺と二人、玄関付近で二人の様子を伺う

「二人とも、拳で解決する事が好きなんですよ」

「呑気だな」

渚さんも二人が出会えば、喧嘩になるという事は予想していたかのようだ。

吟ネエは準備運動を行っている。

耕一さんは、構える事無く立っているだけだ。

「アチシのお腹の中を震わせてくれるアルか」

「じゃじゃ馬に灸を据えるだけだ。楽しませるつもりはない」

吟ネエが最初に動いた。

目にも留まらぬ速さの拳を打ち抜くと、耕一さんは最小限の動きだけでかわす。

蹴りを放っても、弾かれる。

圧倒的な強さだ。

吟ネエには才能がある。

しかし、その才能の上に努力を積み上げたのが、耕一さんだ。

身震いする。

あれだけ重みのある拳の吟ネエ。

それを上回る拳をぶつけるのだろう。

吟ネエの拳が、耕一さんの腹を打つ。

しかし、耕一さんは吟を見るだけで倒れない。

「お前が成長する事は悪くはない。だが、お前が自由奔放に迷惑をかける事は悪い。それを解っていながら進める事は尚悪い」

「萎えるアルな」

「そうか」

拳を握り締めた耕一さんの一撃が吟ネエに放たれる。

しかし、紙一重でかわす。

だが、耕一さんの拳の速さは吟ネエを超えている。

ニ撃目には、吟ネエのお腹を拳が捉えた。

そして、よろけた吟ネエの顔に再び拳が決まり、後方へと飛ばされる。
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