Symphony V
時間には何とかぎりぎりといったところで、ヒラツカ山に到着した。
山、といっても実際にはとても小さな塚で、本来は平塚、というのが正しいらしい。が、子供たちにとってみれば、小さな山にも見えるため、子供達の間では、ヒラツカ山、と呼ばれていた。
ヒラツカ山の上に行くと、1人の人影が見えた。
もしかして、紅い蜘蛛…?
唯は足を止めた。
が、次の瞬間。
「唯には手を出さないで!」
唯は目を大きく見開いた。
「お母さん!」
叫ぶと同時に、人影まで駆け出した。
「おか…!」
呼びかけたそのとき、人影が母親でないことを悟った唯は、少し後ずさる。
「おかしいな。子供だと聞いていたが」
背後からいきなり声がした。振り向こうとした瞬間、喉元にナイフを突きつけられ、身動きが取れなくなる。
「顔は写真で見た通り、か。ふむ。とにかく、まず。説明してもらおうか」
淡々と話しかけてくる男の声に、唯はぶるっと体が震えた。何がどうなっているのか理解できない。
「この格好は、一体、どういうことなんだ?」
ナイフがキラッと月明かりに反射する。唯はごくりと唾を飲み込んだ。
山、といっても実際にはとても小さな塚で、本来は平塚、というのが正しいらしい。が、子供たちにとってみれば、小さな山にも見えるため、子供達の間では、ヒラツカ山、と呼ばれていた。
ヒラツカ山の上に行くと、1人の人影が見えた。
もしかして、紅い蜘蛛…?
唯は足を止めた。
が、次の瞬間。
「唯には手を出さないで!」
唯は目を大きく見開いた。
「お母さん!」
叫ぶと同時に、人影まで駆け出した。
「おか…!」
呼びかけたそのとき、人影が母親でないことを悟った唯は、少し後ずさる。
「おかしいな。子供だと聞いていたが」
背後からいきなり声がした。振り向こうとした瞬間、喉元にナイフを突きつけられ、身動きが取れなくなる。
「顔は写真で見た通り、か。ふむ。とにかく、まず。説明してもらおうか」
淡々と話しかけてくる男の声に、唯はぶるっと体が震えた。何がどうなっているのか理解できない。
「この格好は、一体、どういうことなんだ?」
ナイフがキラッと月明かりに反射する。唯はごくりと唾を飲み込んだ。