Symphony V
村儀は渡された数枚の紙を、説明をしながらテーブルの上に置いていった。

「まず、お前の両親の寝室で見つかった、お前の両親と思われる2人の遺体のDNA鑑定の結果だ。結論から言えば、この遺体は、お前の両親の遺体のもので間違いないと思われる」

あの時聞いた、唯の母親の声。
あれはやはり、聞き間違いだったんだろうか?
唯は少し項垂れた。

「次にこれだ。こいつは高遠稜夜と、その父親、稜輔のDNA鑑定の結果だ。DNAの鑑定結果は間違いなく親子を指し示していて、死んでいたのも稜夜本人であることがはっきりした」

唯は黙って頷いた。

「それからこれだ。お前の言葉が気になってな。佐藤に、葵夫妻と娘のDNAを入手させてきた」

そう言って、村儀は4枚の紙を並べた。

「…葵夫妻と娘のまゆだが、血のつながりがないことが明らかになった」

「え?」

意味がわからず、首をかしげる唯に、村儀は続けた。

「さらに、お前に提供してもらったDNAなんだが、葵夫妻のものと一致する点が多くみられた」

村儀の言葉に、唯は顔をしかめた。

「それって…」

「あぁ。お前は、葵夫妻の正真正銘、血のつながった娘だ」

絶句する唯。佐藤が今度は少し言いにくそうに切り出した。

「これ、昔の雑誌のコピーなんだけど」

佐藤は1枚の紙を唯に渡す。

「ここの部分。見てみて」

言われて、記事の一部に目を通す。唯は困惑した表情で、佐藤を見た。

「…これ、本当に?」

唯に聞かれて、佐藤は頷いた。
< 191 / 247 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop