Symphony V
数日後、アメリカのとある州で、盗賊としての紅の蜘蛛が復活したというニュースが流れたと、日本のネットニュースで小さく流れていた。


そういや、結局、レオンもキアリーも、お互いの正体を知らないまんまなんだ。


まるでコメディのようだとついつい笑う。



レオンたちが帰って暫くは、なんとなく寂しい気もした。

けど、2日に1度はメールをくれるキアリーとレオン。
時々だけど、陽輔からメールや電話がかかってくる。

巧も同じバイト先に入り、康之と3人で遊んだりもする。

寂しいと思う気持ちも、少しずつ、薄れていった。


稜輔は陽輔が持っていた数々の横領の証拠や、暴力団との繋がり、実の妻の委託殺人の依頼書などを警察・マスコミに流されてしまったため、今は警察署と家との、往復の毎日を送っている。

村儀は紅い蜘蛛こそ逃してしまったものの、元凶となった稜輔の取調べやら何やらで大変そうだった。




失ったものは多くて、大きかった。
忘れることなんてできない。

だけど、恨んでも怒っても。
なんにも残らないってわかったから。


お父さん、お母さん。
今までイイコじゃなかったけど。
もう、2人はいないけど。

私、2人が胸をはって自慢できる娘になるから。


だからどうか、見守ってて。


私、頑張るから。




胸をはって、前を向いて。
後悔なんてしないように。


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