Symphony V
そんな簡単に、許してなんかやるもんか。

バカにされた悔しさで、少しだけ意地になる。

と、その時、ソファーの上に自分のバッグが置かれているのに気づいた。


そういえば、携帯チェックしてない。お母さんにも連絡しなくちゃ…


すっとベッドからおりると、ソファーに座り、バッグの中から携帯を取り出した。特にメールはなく、不在着信が3件入っていた。

見てみると、母親から1件と、稜夜から2件、着信があったようだった。

母親からの着信は、今朝がた。留守電が残されていた。ちゃんとお礼をいいなさいということと、今日はちゃんと、帰ってきなさいねという内容のものだった。

「稜夜先輩…どうしたんだろ?」

時刻は午前3時に1度と6時に1度。


「……あれ?」

そこまでみて、ふと疑問がよぎった。

「あの、レオンさん。私、昨日稜夜先輩と、番号交換してました?」

そうだ、携帯の画面に、稜夜の名前が出ていたので、まったく気にもとめていなかったが、当の本人と、番号を交換した記憶がない。

「レオンでいい。番号交換って、携帯のか?昨日、稜夜が唯の携帯をいじってたのはみたぜ?」


稜夜先輩が私の携帯を?


「なんで…?」

不思議そうな顔で呟くと、レオンは肩をすくめた。

「さぁ?あ、唯のお母さんに電話するためじゃないか?」

言われて発信履歴をみてみる。確かに、ちょうどその直前くらいに、母親に電話をかけているようだった。
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