Symphony V
「唯の今日の予定は?」

レオンに聞かれて首を傾げる。

「今日はバイトもお休みもらってるし、特にないかな。なんで?」

「特に予定がないなら、今日ちょっと付き合ってくれないか?」

レオンに言われてきょとんとした顔をする。

「付き合うって…何を?」

聞くとレオンはにっこりと笑って答えた。

「行きたいとこがあるんだよね、俺。そのために親父についてきたんだ」

目を輝かせながら言うレオンに、唯は興味なさげにふうん、とだけ答えた。

「…なんだよ、冷たいな」

言われて唯は、少し肩をすくめる。

「そっかな?そんなことないって」

じとっとした目でみてくるレオンに、唯は苦笑いを浮かべてごめんごめん、と謝った。

「今日は何にも予定ないし、いいですよ」

言うと、レオンは大袈裟に喜んだ。


外人さんって、ほんと、オーバーリアクションよね。


生で見れたことに、少し感動する唯。

「ところで、行きたいとこってどこですか?」

聞くとレオンはにっこり笑って、1枚のチラシを突きつけてきた。

「美術館」
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