Symphony V
しばらく、里香に寄りかかって泣き続けた。
どれだけ泣いたかわからないくらい、自分でもびっくりするくらい。

ただ、涙が枯れるまで泣き続けた。


「唯、少しは落ち着いた?」

目を真っ赤に腫らして、里香に渡されたティッシュで鼻をかむ。


今日でどんだけ泣いたんだろ、私。


頷きながら、はぁ、と口で息をする。

「何があったか知らないけどさ。話したいこととかあるなら聞くよ?」

心配そうな表情で、里香が唯の顔をのぞきこんでくる。唯は少し笑って、大丈夫、と答えた。

「昨日から、ちょっといろいろあったから。少し混乱してただけ」

いくら親友とはいえ、引くぐらいに大泣きをかましたせいもあり、唯は少し照れ笑いを浮かべながら答えた。

ピルピルピル…ピルピルピル…

小さな電子音が聞こえてきた。

「あっ…」

唯は居間に置きっぱなしにしてしまっている携帯の存在を思い出した。

「ほら、取っておいでよ」

クスッと笑う里香に少し頷いて居間に行った。
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