くろすおーばー・らぶすとーりー!
歩くMI6。
学校ではそう呼ばれている。恐らくはきっと私の観察眼による圧倒的な情報量に依るものだろうか。よく分からん。
「田原ー!!(私の苗字である)折り入って頼みがある!」
「へぇ、頼みがあるのか。…あ、大野さんおはよ」
「無視するなぁぁぁぁぁ!!」
私の隣で男子が叫ぶ。登校中の私にとって清々しい朝に何を無粋な。
「あー、うん。で、何?聞くだけ聞くけど」
「田原は今日も聖人だった!」
「聞くだけだって言ってるんだろが」
構わず男子―――クラスメイトのえーっと高山とか言ったっけ―――は続けた。
「好きな人がいるんだけど」
「またそれかっ!!」
「? 俺…田原にこれ言ったの、初めてだよな…?」
「…っ…」
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