純白エゴイスト
遠く離れたフィレンツェの街並で、僕は伝播したウイルスにより、アンデッド化した住人たちの介抱に追われていた。
介抱、といっても、対外的には暴力に他ならないのだけれど、体内に侵食したA-ウイルスは、皮膚を破らないと排出できないのだから、いた仕方が無い。
そんな絶望的環境のなかで、僕は、先駆者としての大役を担っている。
僕に求められているものはなんだろう?
命とは何か、それを考える時間は、僕に残されていない。