最高級の召使
井上が唇を離した瞬間


私の手は思いっきり
井上の頬を音を立てて
ひっぱたいた。


カメラのシャッター音も
聞こえた。



井上は突然のことに唖然としていた。



「楓!!」
父の声が聞こえた気がした。


やっぱり絶対いや・・・・
家のために
愛を失うなんて・・・・
両親には申し訳ないけど・・・
それは違う・・・・・・ 




「私は愛している人と
生きていきたいだけ!!
あなたを愛していない!!
愛してる人がいるの………
その人との未来しか
想像できない・・・・
有栖川の名前も家も……
何も要らない……
彼だけ……彼だけがいたらいいの!!」


まっすぐ見た先のドアに
倉之助が立っていた。

肩を大きく揺らしていた。
私はステージを駆け降りた。
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