最高級の召使
両親がやっと帰る日


「楓、座りなさい。」


あらたまって座らされた。


いつものように
じぃが父の隣に立っていた。


「じぃ、そんなに頑張らなくても
もう年なんだから
隣に座っていいんだよ。」


「何を言いますか!?
わたくしは、先祖代々
有栖川家にお仕えて
55年…先代の旦那様に
目をかけてもらい、おぼっちゃまに
お仕えし、そして楓さまと……
そのわたくしが旦那さまと同じ席に
座るなんてことは
召使のプライドが許しません。」


「じぃ、そんなにしゃべったら
入歯がはずれるよ~」


よくじぃは興奮して
入歯が外れる、私はそんなじぃが
大好きだ。



「楓……残念なことを伝えるね。」
父が話そうとしたら

じぃが

「私に話させてください。」

と言った。



「長くお仕えさせていただきましたが
じぃは隠居いたします。」


隠居!?



私は耳を疑った。

< 8 / 401 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop