宝石色の幻想
第五話



蒼空音は学校で美乃と会い、時には二人で遊びに出掛け、メールも電話も頻繁にしていた。

柏木に美乃を任せてから、一抹の不安はあったが、美乃の口から柏木の話題が出ることは少なかった。


それに安心していたのだろうか、美乃の親友であるのに、美乃の一番の苦悩にずっと気付くことが出来なかったのだ。柏木と美乃が出会い、おおよそ一年経つまでは。



その日、蒼空音はラクロス部の練習もしっかりこなし、学校を出たのは午後八時近くになっていた。

携帯電話を開けば、ブルブルと手のひらで震える。着信を告げているようだ。着信件数が十件もあったため、確認もせずすぐさま電話に出た。


「もしもし?」
「ごめん、蒼空音…」

声音から判断するに、美乃に違いない。いきなり謝れても身に覚えがない。それ以前に、今にも泣き出しそうな美乃の様子に気付く。


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