One Way Ticket 2
不安に駆られて
那智のあとを追った


「わがまま言って、怒った?」

洗面所のドアに手をかけようとしていた那智は
ゆっくり振り向いた

「怒ってないよ。
 ただ・・・ちょっと・・・」


口ごもった那智は私を抱き寄せる
ふわっと
那智の香水の香りに包まれた


「千香の好きなだけ居ていいよ。
 俺は体を冷ましてくるから。」


那智の言葉に耳が熱くなるのがわかった


那智は洗面所に入っていった


私はしばらくその場に立ち尽くして
閉まるドアを見つめていた


エッチが初めてじゃない
あの事件が起こるまで
私はそれなりに色々なエッチを楽しんできた



でも
あの事件がきっかけで
今の私は・・・・
”初めて”の女の子みたいになったちゃったよ

今は
想像しただけで
恐怖とドキドキが止まらない



今は恐怖のほうが大きいけど

いつか


あの
力強い腕に抱かれる日は来るのかな


少し妄想しながら
私はリビングに踵を返した
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