One Way Ticket 2
『はい?』

女の声


美那子・・・


「千香です。
 那智は居ますか?」

震えを隠して強めに言った


『千香?・・・』


『おいっ、勝手に出るな!
 ・・・はい。』

久しぶりに聞いた那智の声

ほっと安堵のため息が漏れた


「私・・・。」


『千香?』


すぐに玄関から那智が顔を出した


目が合った瞬間
私は俯いてしまった


那智を直視できない



「あなたまた来たのね?」

那智の腕の間から美那子が顔を覗かせた


胸の辺りにピリッとした電流を感じる


「ひさしぶり。」

那智の優しい言葉


なのに
美那子が気になって仕方がない


必死で自分を落ち着かせる


私は那智を信じてる

< 98 / 182 >

この作品をシェア

pagetop