狂愛-ソレハジュンアイ-
「今日は本当にありがとう」
タクシーから下りて陸くんにお礼を言った。
「いや、こっちこそ。また行こうな」
また、と言う言葉に少し戸惑った。
「う、ん。今度は水族館がいいな」
気付かれないように気をつけて言う。
「わかった。じゃあ、また明日」
あたしはタクシーから少し離れて手を左右に振った。
次第に見えなくなるタクシーに溜め息を吐いて玄関の扉を開ける。
「ただいまー」
パタパタとスリッパの音が聞こえ顔を上げた。
「あ、英里さん、ただいま」