君と歩む夢みて~時は平安~



ズズッと鼻を啜った。



「取り乱して…っ、申し訳ない…っ」



目から落ちる、涙を止めようと目に力をいれてもそれは無に等しくて。



止めようとすれば、するほど大量の涙が頬に伝っていく。



「黄泉様…開けても宜しいですか?」



星宴の今までと違う、低く男らしい声。



「え…」



「お顔を…見せてくださいませんか…?」



それは、この襖みたいのを開けて…顔を合わせようということ。



同時に…見合いを互いに了承したようにもなる。



「それは…っ、できぬ…!!」



「違います!泣いておられるのでしょう?黄泉様。私は純粋に貴女に会いたいだけなのです…!!」



違います…?
それは、どういう意味で…?



見合いとは関係なく会いたいということなのか…?



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