君と歩む夢みて~時は平安~
想伝
目の前にいる天竜を…ギュッと抱きしめた。
「よ…黄泉様…ッ?!」
天竜の驚く声が聞こえてくる。
そんなの、気にならないほど必死だった。
抱きしめる力を更に強める。
「天竜…私は…」
心臓の鼓動がやけに大きく聞こえてくる。
「天竜が…好きだ。」
溢れ出した想いは、言葉として伝えられた。
天竜の顔を見るのが…怖くて、ギュッと目を瞑る。
…抱きしめる力を緩めずに。
「黄泉様…お離しください。」
……………。
肩を掴まれ、天竜は私を離した。
「………ッ」
当たり前、か…。
突き放され、夢から覚めたような感覚が私に巡る。
「黄泉様は…私のような者を、好きになどなられてはいけません…」
天竜は俯いて、ポツリポツリと言葉を発した。