Sweet〜甘クチ王子様と夏の恋〜

☆最悪な事☆


杏ちゃんが私の為に泣いてくれてるなんて

思いもしなかった私は


一人調理実習室でケーキとお弁当を作ってた


一人になると急に不安と恐怖が襲ってくるような気がして


その感情を消すために、ただひたすら料理に集中した


たまに手を止めて空を見ると

夏も終わりに近づいているかのように

真っ赤な夕日が一面に広がってる


「綺麗……」


私の心とは反対の綺麗な夕日


それを見ると余計悲しくなるような気がして

そっとカーテンを閉めた


−−チン………


ケーキを入れたオーブンが鳴る


私はケーキを出してそれを眺めた


初めて昴君に会ったときのシフォンケーキ……

また喜んでくれるかな??


今の現実が辛いから
せめて昴君との愛情をたくさん確かめたかった


だから今日またシフォンケーキを作ってみた……


これで二人の絆が強くなりますように


そんな願いを込めて……




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