Sweet〜甘クチ王子様と夏の恋〜

自分が発した言葉に驚いて目を開けると


青矢先輩の顔が目の前にあった


「先輩…私…」


萌音って呼ばれた瞬間


私の中に昴君の笑顔や


あの日中庭で交わした約束が


色鮮やかに甦った


「ごめんなさい…」


先輩の顔を見ることが出来なくて俯くと


涙が頬を伝うのが分かった


私は狡い


昴君への気持ちを隠したまま先輩の優しさに甘えてる


こんなにも


私の心は


気持ちは貴方への想いが溢れたままなのに


次々に溢れる涙を指で拭っていると


先輩が私の顔を覗き込み


そっと頬に手を当てた


「悪りぃ…焦りすぎた…」


「違っ!!違います!!」


悪いのは先輩じゃない


私なのに


本当はもっと早く気付くべきだったんだ


気持ちは初めから決まっていたのに…


私は結局みんなを傷つけてる


「先輩…私…」


「何も言うな。」


言葉を遮り青矢先輩はそっと私を抱きしめた


そして


「今はまだ聞かない…」


って


耳元で囁いた




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